ブルー・オーシャン戦略
『マーケティングはじめの1歩』第25回
本日は「ブルー・オーシャン戦略」についてお伝えします。
マーケティング用語として、ブルー・オーシャンという言葉を耳にされたことがある方は多いでしょう。
ブルー・オーシャン戦略とは、競争者のいない新しい市場(ブルー・オーシャン)を創造し、低コストと差別化を同時に実現して利益の最大化を狙う戦略です。
未開拓で無限に広がる可能性を秘めた未知の新しい市場を「ブルー・オーシャン」、反対に多数の競争者で激しい「血みどろ」の競争を繰り広げる既存の市場を「レッド・オーシャン」と呼びます。
ブルー・オーシャン戦略は、フランスにある経営大学院INSEAD(インシアード)教授のW・チャン・キムとレネ・モボルニュにより、2005年2月に発表された著書『ブルー・オーシャン戦略』で提唱されました。
競合の多い既存の市場空間(レッド・オーシャン)では、なかなか利益が出ず、消耗戦になってしまいます。
競争のない未知の市場空間(ブルー・オーシャン)を、「バリュー・イノベーション(価値革新)」という考え方により創り出し、低コストと差別化を同時に実現して利益を上げます。
【バリュー・イノベーション】
(コストの引き下げと付加価値の向上を同時に達成すること)
大事なのはコスト削減と付加価値のどちらかだけではダメだということです。
イノベーションを伴わずに価値を高めようとしても、市場を切り開くことはなかなかできません。
一方、価値を伴わずにイノベーションだけを実現した場合でも、業界のパイオニアにはなれますが、顧客に受け入れてはもらえません。
イノベーションを行うと同時に、顧客に受け入れられるように価値を高めるためのバリュー・イノベーションこそ、ブルー・オーシャンを切り拓く土台となります。
○アクション・マトリクス
◆取り除く・減らす
ターゲットに不必要で取り除くことができる機能はないか?コンテンツで減らせなるものはないか?(コスト削減)
◆増やす・付け加える
ターゲットが必要としている機能で増やせるものはないか?コンテンツや利用シーンを変えることができないか?(付加価値)
現状の競争要因に対して、自身がどのように変化すれば、ブルー・オーシャンを創造できるかを整理します。
また、「増やす」「付け加える」と同時に「取り除く」「減らす」ことで、高付加価値を低コストで実現できる可能性を見いだします。
○戦略キャンバス
(市場分析ツール)
横軸には「業界が客をつかむために力を入れていること:競争要因(=顧客から見た価値)」を記し、縦軸には各要因に対して「顧客がどの程度のレベルを享受しているか」を記しグラフを作成します。
高スコアであるほど、企業がその要因に力を入れていることを意味します。
このグラフを、業界標準、ライバル会社、自社のパターンで作成すると、業界内で自社が置かれている状況が分かります。
他社と重複しない価値曲線のグラフを作ることでブルー・オーシャンを見つけます。
一見、差別化戦略のように考えられがちですが、「高付加価値を持つ新市場の創造」ということに主眼が置かれます。
差別化を突き詰めることで、新たな競争のない市場を創造するということです。
そのため、上記のようなツールを活用し、市場を再定義することが、この戦略においては重要となります。
ブルー・オーシャン戦略の例としては、1967年にアメリカで設立されたLCC(格安航空会社)のサウスウエスト航空があります。
同社は徹底したコストカットを行い、低価格を実現しました。
しかし、今では多くのLCCが競争していますので、すでにレッド・オーシャンと言えそうですね。
【豆腐専門メーカー相模屋食料株式会社のブルー・オーシャン戦略】
豆腐は、家族がいる人や、お料理をする人に買われる商品です。
豆腐の消費量が減り、市場規模は縮小傾向にありました。
市場にいない層を振り向かせるために、徹底的にターゲットを絞り、大ヒット商品を連発しています。
◆豆腐を買うことが少ない男性向け:ザクとうふ、百式とうふ
◆おしゃれで健康志向が高い若い女性向け:BEYOND TOFUシリーズ
◆個食層に向け:ひとり鍋シリーズおかずとうふシリーズ
次回は、「ライフタイムバリュー」について、お伝えしますので、お楽しみに。